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突然のおわかれ [記事]

 養護学校での最後の参観日の前日のことでした。
 夕方のニュースを見ていると、突然、新型コロナウイルス対策で
全国の小中高、特別支援学校の臨時休校を要請、という速報が流れ
ました。
 「え~っ」と思わず声が出たのは母。
 「やったー!」と顔が輝いたのは、高校生の妹。
 こうきは寄宿舎に入っていたので、様子がわからず。
 驚きました。本当に、全国一斉に休校になんてなってしまうのか。
 期間は来週から春休みの始まるまでの二週間だということで、
そうしたら、こうきの残りの学校生活は終わりになってしまうじゃ
ないか。
 モヤモヤした気持ちのまま、翌日の参観日に行くことになりました。

 本当なら、朝からクラス参観、学年や地区PTAの会、卒業生の親の
奉仕活動などが組まれていたのですが、全て中止。午後の音楽学芸会
だけの参観となりました。
 様々な音楽に合わせた歌とダンス。最後のステージで、どの子も
生き生きと楽しそうに体を動かしている姿を見て、なんだか胸が
いっぱいになりました。
 こうきは、南中ソーランのグループでした。こうきにとっては
難しい踊りでしたが、一生懸命ほかの子と同じ動きをしようと頑張
っていました。こうきなりの精一杯の踊りを目に焼きつけ、拍手を
送りました。

 学芸会は短縮されて終わり、先生たちはどこか慌ただしく動き回
っていました。休校のことを尋ねても、まだ最終決定がされていな
いとのことでした。
 帰りの会が始まったところで、突然、校内放送が入り、校長先生の
声が響きました。
 「みなさん知っている通り、今新型コロナウイルスという病気が
流行しています。とても残念ですが、みなさんの健康を守るために、
来週から春休みまで、学校はお休みになります」
 そんな内容の話を、校長先生は子どもたちにわかるように、ゆっくりと
丁寧に説明してくれました。
 でも、ここから卒業までの二週間、最後の学校生活を楽しもうとして
いた子どもたちです。
 最後のお出かけとなる校外学習や、クラスでの食事会や、お別れ会など、
全てがなくなってしまいました。別れを惜しむ間もなく、突然、学校が
終わってしまうことに、悲しくて悲しくて、涙が止まらない女の子も
いました。
 こうきはさて、どうだろう?
 昔からこだわりが強く、突然の予定の変更にはなかなか対応できず、
混乱してしまうことがよくありました。学校や寄宿舎が大好きなので、
今の事態を受け入れることが難しいのでは、と心配でした。
 校長先生のお話のあと、担任の先生たちからも、お話がありました。
 「突然のことで、先生たちも何と言ったらいいかわかりません。学校が
これでお休みになって、残りの学校生活がおしまいになってしまうことは
本当に悲しいです。でも、みんなの健康を守るために、きちんとお休み
することが大事です」
 「みんな、コロナウイルスがうつらないよう、しっかりと手洗いや
うがいをして、なるべく家で過ごしてください」
 先生たちも、ただそう言うしかないという様子でした。
 すると、こうき、すかさず手を挙げて、
 「ハイ、家でテレビを見てすごします!」
 しんみりした空気を破るように、大きな声で宣言です。
 意外にあっさりと切り替えができているんだな。
 少し安心しました。

 あれから一週間。
 休みになった子どもたちの行き先として、放課後デイサービスで
日中の預かりをしてくれるというのはありがたいことでした。
 養護学校でも、共働き家庭などに対しては、昼間の受け入れをし
てくれるという話がありました。食事はお弁当になりますが、寄宿舎
での泊りも可能ということでした。
 私が仕事に出てしまうので、こうきもどこかに行ったほうがよい
かと思ったのですが、あれほど好きだった学校に、
 「行きません」
とかたくなです。
 「ずっと家にいるのはつまらないよ。行ってみる?」
 何度聞いても、
 「家で、ダラダラします!」
と堂々の宣言。
 こたつにもぐってテレビを見たり、昔の写真を見たり、家の中を
ウロウロしたり。
 本当に毎日、妹とダラダラ過ごしています。
 でも、外に出かけないと気が済まなかった頃のことを思うと、一日そんな
風に過ごせるようになったことも成長なのかな・・・。


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