SSブログ

れーちゃん、さみしい [記事]

 妹が、大学進学で家を離れることになりました。
 去年からそのことはこうきに伝えてあって、大学を見に行く時にも、
住むところを探しに行くときにも、一緒に連れて行って、ついでに
観光したりもしてきたのですが、いざ引っ越しとなると、さみしさが
じわじわこみ上げてくるようでした。
 「来年かられーちゃん、いなくなっちゃいますか」
 「大学いっちゃいますか」「ひとりぐらし、しますか」
 「こうきくんもひとりぐらししたい」
 いよいよ三月末の引っ越し、こうきも仕事を休んでついていくことに。
 一緒に荷物を運んだり、家具の組み立てを手伝ったり、買い物に行った
りしました。最初の晩はホテルに泊まりましたが 妹の部屋にみんなで
ギュウギュウになりながら何泊かもしました。近くの温泉に行って、ちょ
っとした旅行気分も味わいました。
 大学の入学式当日。妹のアパートの前でお別れです。
 私が妹に、「じゃあ、元気でやるんだよ」と励ましの握手をすると、
 「れーちゃん、じゃあね。げんきでね」
 自分も、というように、妹の手を取ろうとするのでした。
 
 家に帰ってくる車の中。
 「れーちゃんのおうち、4月30日までいていいですか」
 「7月にれーちゃんのうち行くの決まってないですか」
 「8月行ってもいいですか。10月までいてもいいですか」
 「こんど、10日間いてもいいですか。20年間いてもいいですか?」
 楽しい時間は終わってしまったし、だんだん気持ちがエスカレートして
しまいます。
 帰ってからも、がらんとした家を感じたのか、
 「このおうち、三人ぐらしになっちゃった」
 「うんとかなしいのきもち」
 ほんと、そうだよね。わかるよ。
 こちらの気持ちをそのまま言ってくれるような言葉でした。
 
 翌日の朝は、起きてくるなり、
 「れーちゃん、さみしい」
 いつも隣の部屋で寝ているはずの妹がいない。いつも居間でいい場所
を占領し、猫をお腹の上にのせて寝そべって、ケラケラ笑っている妹が
いない。その不在がこたえます。
 「れーちゃん、いなくなって、このおうち、さみしくなっちゃった」
 「大泣きのかなしいのきもち」
 「うんとの大泣きのかなしいのきもち」
 夕方、私が帰ってくると、急に飛び出してきて
 「れーちゃんのおうち、行きたい、行きたい。いつ行きますか!」
気持ちが高ぶることがありました。一人で過ごす時間が長くなって、
寂しかったのかな。早く帰らないと、と思いました。
 たいして会話をするわけではないけれど、小さい時から一番長く、
ずっと一緒にいてくれた二つ下の妹がいないというのは、思いのほか
大きいことなのかもしれません。





nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。